
「最近、夫婦で何を話しただろう」
そんなことを考える余裕さえなかった時期が、私たち夫婦にもありました。
特に大変だったのは、結婚して5年ほどたったころです。
当時の私は、地元の病院で医療事務としてフルタイムで働いていました。
土日は休みでしたが、平日の仕事に加えて、帰宅後も子育てと家事が待っています。
下の子が生まれたばかりで、上の子は4歳。赤ちゃんのお世話をしながら、元気いっぱいの男の子の遊び相手をする毎日は、想像以上に大変でした。
常に寝不足で、目の前の生活を回すだけで精いっぱい。夫婦の会話が減ったのは、相手への気持ちがなくなったからではありません。
お互いに、相手を気遣う余裕が残っていなかったのだと思います。
この記事では、共働きと子育てで会話が減った私たちが、どのように夫婦の時間を取り戻していったのかをお話しします。
結婚5年目、私たちは「夫婦」より「パパとママ」になっていた

下の子が生まれたころ、私は病院の医療事務としてフルタイムで働いていました。仕事を終えて家に帰っても、赤ちゃんのお世話と4歳の上の子の相手が続きます。
私たちの生活は、仕事と子どものことで回っていました。
お互いを呼ぶときも「パパ」「ママ」。私は、自分がもう一人の女性ではなく、完全に「お母さん」になったように感じていました。
ミルク代、おむつ代、おやつ代。ひとつひとつは小さく見えても、積み重なると家計を圧迫します。自分たちの服や欲しいものは、いつも後回しでした。
夫婦の営みもほとんどなくなっていました。会話が減ったことだけでなく、「もう女性として見られていないのでは」と感じることも、当時の私にはつらかったです。
夫の休みは、基本的に日曜日だけ。月に4日ほどしかありませんでした。夫も疲れていたので、せっかくの休みに家族で出かけても、余裕がなくなって喧嘩になることがよくありました。
Facebookの楽しそうな家族がまぶしく見えた

当時はFacebookが流行っていたころだったと思います。
私は自分から発信していませんでしたが、旅行や子育てを楽しんでいる家族の投稿をよく見ていました。
楽しそうな写真を見るたびに、「いいな」「うちもこんなふうに過ごせたら」と憧れていました。
今なら、SNSに写るのは生活のほんの一部分だと分かります。でも、寝不足で心にもお金にも余裕がなかった当時は、他の家庭がとても幸せそうに見えたのです。
比べるほど、自分たちには何かが足りないような気持ちになりました。
会話が減った本当の原因は、愛情よりも「余裕のなさ」だった
当時の私たちは、会話を増やす方法を知らなかったわけではありません。
一緒に出かけたり、家族で楽しい思い出を作ったりすれば、関係も良くなると思っていました。
しかし、月に数日しかない休みに予定を詰め込んでも、疲れが増えるばかり。子どもの機嫌や移動の大変さも重なり、かえって喧嘩になることがありました。
私たちに足りなかったのは、会話の話題ではありませんでした。
- きちんと眠る時間
- 仕事から家庭へ気持ちを切り替える時間
- 子育てから少し離れる時間
- お金を心配しすぎずに済む余裕
- 夫婦二人で落ち着ける時間
こうした生活の余白が、ほとんどなかったのです。
私たちの大きな転機は、離島から福岡への移住だった

結婚6〜7年目、私たちは思い切って地元の離島を離れ、福岡へ移住しました。
地元での暮らしが嫌いだったわけではありません。海が近く、家族や親戚も近くにいる、温かい場所です。
ただ、上の子の同級生は5人ほどでした。将来を考えたとき、もっと多くの友達と出会い、にぎやかな学校生活を経験させたいという気持ちがありました。
引っ越した先の学校は、1学年150〜200人ほどの大きな学校。子どもにはたくさんの友達ができました。
上の子が年長の9月に引っ越したため、近所の私立幼稚園にお願いして、卒園までの半年間通わせてもらいました。制服代などの負担はありましたが、そこでつながりができ、下の子も同じ幼稚園へ通うことができました。
子どもたちの世界が広がったことは、親である私たちの気持ちにも大きな変化をもたらしました。
夫の転職で、家族に使える休日が増えた

移住に合わせて、夫は転職しました。
転職後は隔週土曜日と日曜日、祝日が休みになりました。お盆や正月の休みも、以前の会社の約2倍に増えました。現在は基本的に毎週土曜日も休みです。
電気設備の仕事なので、依頼によって土日に出勤することはあります。それでも、以前より家族で予定を立てられる日が増えました。
休日が月4日ほどしかなかったころは、「この日に楽しまなければ」と力が入りすぎていたのかもしれません。
休める日が増えると、一度の外出がうまくいかなくても「また今度」があります。その安心感だけでも、家族で出かけるときの空気は変わりました。
福岡を拠点にすると、子連れのお出かけが楽になった
離島にいたころは、旅行へ行くにも、まず船などで本土へ渡る必要がありました。当時は福岡へ来ること自体が旅行だったのです。
福岡に住んでからは、車で大分や熊本へ出かけられるようになりました。
子どもが小さいと、着替えやおむつなどで荷物が多くなります。子どもの世話をしながら、タクシーやバスを乗り継ぐのは大変です。車なら荷物の量をあまり気にせずに済みました。
花火大会、遊園地、ヒーローショー。以前なら大きな計画が必要だった場所にも、気軽に行けるようになりました。
単に遊び場が増えただけではありません。「出かけるだけで疲れ切る」という負担が減ったことが、家族の余裕につながったのだと思います。
子どもを家族に任せることで、夫婦二人の時間が生まれた

福岡へ移住して困ったことのひとつが、夏休みなどの長期休暇でした。
共働きの私たちは、夏休みの間子供の世話することが出来ません。
毎日子供だけで留守番させることは、不安でした。
夏休みだけの学童に通わせたこともありました。
それでも、思い切り遊ばせてあげたかった。
そこで、小学生になった子どもたちを、休みの間だけ離島の祖父母の家に預けるようになりました。
航空会社の子ども一人旅のサポートを利用したり、祖父母が福岡へ来た帰りに一緒に連れて帰ってもらったりしました。
私の実家と夫の実家は近く、年の近いいとこもいます。実家の裏には歩いて行けるビーチもあり、子どもたちは親戚の家を行き来しながら、島での時間を楽しんでいました。
毎日海で泳ぎ、みんなで宿題をして、夜は花火を楽しんでいました。
祖父と山へ竹を切りに行き、竹を割り流しそうめんをしたり、バーベキューをしたり、都会ではできない経験ができました。
子どもにとっては、親がいない自由と、かわいがってくれる祖父母や親戚に囲まれた、最高の夏休みだったようです。
この過ごし方は夏休みと冬休みの恒例になり、大学生になった今でも、長男は夏になると島へ帰っています。
その間、私たちは普段どおり仕事をしています。それでも休みが合えば、夫婦二人で大分へ温泉旅行に行くこともできるようになりました。
今年も、春休みのころに夫と二人で温泉へ行きました。
子育て中にはほとんど持てなかった二人の時間を、今では意識して作れるようになっています。
私たちが夫婦時間を取り戻すために大切だった5つのこと
私たちの関係が変わったのは、特別な会話術を身につけたからではありません。
振り返ると、大切だったのは次の5つでした。
1.会話だけでなく、会話を奪っている負担を見直す
会話がないと、「もっと話さなければ」と考えがちです。
でも、寝不足や仕事、家事、育児で余裕がない状態では、話すこと自体が負担になります。
まず必要なのは、会話を無理に増やすことではなく、二人から余裕を奪っているものを見つけることでした。
2.環境を変えることも選択肢に入れる
私たちの場合は、移住と転職が大きな転機になりました。
もちろん、誰もが引っ越せるわけではありません。移住だけが正解でもありません。
勤務時間を見直す、移動の負担を減らす、家事を一つ手放すなど、小さく環境を変えることでも、夫婦の余白は作れると思います。
3.家族や周囲の助けを借りる
子どもを祖父母に預けることに、最初は申し訳なさを感じる人もいるかもしれません。
でも、子どもたち自身が楽しみ、祖父母も喜んでくれるのであれば、頼ることは悪いことではありません。
親が少し休み、夫婦が落ち着いて向き合えることは、家族全体にとっても意味があると感じています。
4.「家族の時間」と「夫婦の時間」を分けて考える
家族で出かけることと、夫婦二人で過ごすことは同じではありません。
子どもと一緒のお出かけは楽しい反面、親は常に安全や時間を気にしています。
温泉旅行のように二人だけで過ごす時間を持つと、久しぶりに「パパとママ」ではない関係に戻れます。
5.SNSの家庭と比べすぎない
楽しそうな家族写真の裏側までは見えません。
他人の一場面と、自分の寝不足で大変な毎日を比べても、苦しくなるだけでした。
今は、私たちなりの生活のペースや、夫婦二人で楽しめる時間を大切にしています。
会話が減ったからといって、愛情がなくなったとは限らない
共働きや子育て中に夫婦の会話が減ると、「このままで大丈夫なのかな」と不安になります。
私も、女性として見られていないように感じ、寂しかった時期がありました。
でも今振り返ると、私たちの間から愛情がなくなったというより、愛情を言葉や行動にするための余裕がなくなっていたのだと思います。
会話を増やそうとしてもうまくいかないときは、「二人の気持ち」だけを問題にするのではなく、睡眠、仕事、家計、移動、子育ての負担を一度見直してみてください。
二人を疲れさせているものを一つ減らすことが、会話を取り戻す最初の一歩になるかもしれません。
まとめ:夫婦の会話には、心の余白が必要だった
結婚5年目の私たちは共働きで、私は病院の医療事務としてフルタイム勤務。仕事に加えて、赤ちゃんと4歳の子どものお世話に追われ、夫婦の会話をする余裕がありませんでした。
家計に余裕がなく、夫の休みも少なく、家族で出かけても喧嘩になる。SNSで見る楽しそうな家庭に憧れながら、自分たちだけが取り残されているように感じていました。
その後、離島から福岡へ移住し、夫が転職したことで、休日やお出かけの選択肢が増えました。家族に頼りながら、夫婦二人で過ごす時間も少しずつ作れるようになりました。
会話が減ったとき、話し方を工夫することも大切です。
でも私たちにとって最も効果があったのは、会話を無理に増やすことではなく、会話ができるだけの余裕を生活の中に作ることでした。
いきなり生活を大きく変える必要はありません。
まずは、今の二人から一番余裕を奪っているものは何か、夫婦で考えるところから始めてみませんか。



