
「お金が足りない。……夫になんて言おう。」
息子の大学進学で、100万円を超えるまとまったお金が必要になったとき、私の頭に浮かんだのはそんなことでした。
家計のお金が足りないとき、夫婦なら「どうしようか」と二人で相談すればいい。今ならそう思います。
でも、当時の私はそれがなかなかできませんでした。
わが家では、結婚する前から私が家計を管理してきました。夫のお給料を預かり、支払いをして、残ったお金で生活する。長い間、それが当たり前になっていたんです。
だから家計のお金が足りないと分かったとき、「二人でどうしよう」と考えるより先に、
「私がなんとかしなきゃ」
と思ってしまいました。
今振り返ると、家計を管理することと、家計の責任を一人で背負うことを、いつの間にか同じにしていたのかもしれません。
夫婦なのに、お金のことを相談できない。
家計を任されているからこそ、「足りない」と言いづらい。
もし同じように家計の不安を一人で抱えている人がいたら、この記事では、わが家がお金に困った経験を振り返りながら、お金が足りないときに家計の何を確認すればいいのか、夫婦でどう話せばいいのかを考えていきます。
そして、そもそもなぜ私は「家計は私が管理するもの」と思うようになったのか。
振り返ってみると、その始まりは結婚する前までさかのぼります。
夫婦で「お金が足りない」と気づいたとき、私が最初に考えたこと

わが家のお金の問題が一気に表面化したのは、息子の大学進学が決まった頃でした。
教育費について、まったく準備していなかったわけではありません。
子どもが小さい頃から学資保険に入り、大学進学に備えてきたつもりでした。
ところが、いざ大学入学のお金が必要になって確認してみると、頼りにしていた学資保険が、私の思っていた時期には受け取れないことが分かりました。
さらに、利用する予定だった奨学金も、入学前に必要なお金をすぐに補ってくれるわけではありません。
「え……じゃあ、入学金どうするの?」
大学入学では、入学金や授業料など、短期間にまとまったお金が必要になります。
わが家の場合、その額は100万円を超えました。
貯金から簡単に出せる金額ではありません。
学資保険のお金はある。でも今は使えない。
奨学金も利用する。でも今は入ってこない。
「将来入ってくるお金」と「今使えるお金」は、まったく別物だったんです。
今なら当たり前のことだと思います。
でも私は、実際にその状況になるまで、「いつ受け取れるお金なのか」をきちんと考えられていませんでした。
そして、もう一つ自分でも意外だったことがあります。
これだけ大きなお金の問題が起きたのに、私はすぐ夫に、
「どうしよう。一緒に考えて」
と言えなかったことです。
頭の中にあったのは、
「どうやってお金を用意しよう」
そして、「夫になんて言おう」でした。
今思えば、夫婦のお金なのだから二人で困ればよかったんですよね。
でも当時の私には、「家計を管理している私がなんとかしなければ」という感覚が染みついていました。
なぜそうなったのか。
考えてみると、原因は大学進学のときに突然できたものではありませんでした。
家計管理を始めたのは、まだ結婚する前だった

私が家計のようなものを管理し始めたのは、実は結婚してからではありません。
夫と付き合っていた頃までさかのぼります。
当時の夫は社会人でしたが、お金の管理が得意なタイプではありませんでした。
借金もあり、奨学金の返済も滞っていました。
それでも仕事が終わるとパチンコへ行くこともありました。
こう書くと、ものすごくお金にだらしない人に聞こえるかもしれません。
実際、今の私なら「いやいや、まず払うものを払おうよ」と思います(笑)。
ただ、当時の私もまだ学生でした。
私が学校に通っている時間は長く、平日の夜に二人で会えるわけでもありません。
夫にとってパチンコは、仕事が終わってからの時間を持て余して通っていた部分もあったのだと思います。
そして付き合っていく中で、夫の気持ちも少しずつ変わっていきました。
「いつか結婚したいね」
そんな話をするようになると、当然ですが、結婚するにもお金が必要です。
夫もパチンコへ行く回数が減っていきました。
まあ、たまに私に隠れて行っていましたけど(笑)。
そして、「結婚するためにお金を貯めよう」と考えるようになった頃から、夫のお給料を私が預かるようになりました。
当時、夫の会社は給料が現金支給でした。
そこから、まず支払いに必要なお金を分ける。
残ったお金で生活して、できるだけ貯金する。
これが、私がお金を管理するようになった最初だったと思います。
私が一方的に、
「あなたはお金にだらしないから、今日から全部私が管理する」
と取り上げたわけではありません。
夫自身も結婚を考えるようになり、二人でお金を貯めたいという気持ちがあったからこそできたことでした。
そして結婚後も、その形がそのまま続きました。
夫が働いて、お給料を私に渡す。
私が支払いをして、生活費を管理する。
気づけば、それがわが家の当たり前になっていました。
夫婦の家計なのに「お金は私が何とかする」が当たり前になっていた
一人が家計を管理する方法は、決して悪い方法ではないと思います。
わが家の場合も、それで長い間生活してきました。
誰か一人が全体を把握している方が、お金の流れも分かりやすい。
夫も「家計は任せた」という感覚だったでしょうし、私自身も家計を管理することが特別嫌だったわけではありません。
問題は、その役割が長く続くうちに、
「お金を管理するのは私」だから、
「お金のことで困ったら、私がなんとかする」
に変わっていたことでした。
今月あといくら使えるか。
保険料はいくらか。
子どもにいくら必要か。
貯金はいくらできるか。
そういう細かいことを把握しているのは基本的に私です。
夫婦で定期的に家計について話し合う習慣も、ほとんどありませんでした。
「今月の家計はこうだったよ」
「来年はこれくらいお金が必要になるよ」
そんな話を二人ですることなく、それでも生活は回っていたんです。
だから、それが問題だとも思っていませんでした。
ところが大学進学のように、普段のやりくりではどうにもならない大きなお金が必要になった。
そのとき初めて、この形の難しさに気づきました。
「お金が足りない」と夫に言うことが、私には「家計管理に失敗しました」と報告するように感じられたんです。
実際に夫から、「お前が貯めてなかったからだろ」と言われたわけではありません。
でも、自分の中には、「そう思われるんじゃないか」という怖さがありました。
だから、一人でどうにかしようとしました。
今振り返ると、ここで私は一つ、大きな勘違いをしていたと思います。
家計を管理する人と、家計の責任を負う人は、同じでなくてもいい。
家計簿をつけるのが私でも、口座を管理するのが私でも、家族のお金の問題まで一人で背負う必要はなかったんですよね。
お金が足りないとき、まず家計で確認したい3つのこと
では、本当に家計のお金が足りないと分かったら、どうすればいいのでしょうか。
私は大学進学のお金でかなり慌てました。
その経験があるからこそ、今なら「まずここを確認する」と思うことが3つあります。
家計が足りないと感じたら、まず確認したいこと
- 今すぐ使えるお金はいくらか
- 半年〜1年以内に必要なお金は何か
- 足りない金額を夫婦で共有できているか
1.今の家計に「実際に使えるお金」がいくらあるか確認する
最初に確認したいのは、貯金額だけではありません。
「今、使えるお金がいくらあるのか」です。
私の場合、学資保険で受け取れる予定のお金がありました。
だから頭の中では、
「教育費は準備している」と思っていたんです。
でも、大学入学時に使えなければ、目の前の入学金を払うことはできません。
預金についても同じです。
口座にお金があっても、来月の生活費や住宅費、保険料などに必要なお金まで全部使ってしまうわけにはいきません。
「貯金はいくらある?」ではなく、
「この支払いに今使えるお金はいくら?」と考える。
これだけでも、家計の状況がかなり見えやすくなると思います。
2.半年〜1年以内に必要なお金を書き出す
目の前の支払いだけを見ると、
「なんとか払えるかも」
と思うことがあります。
でも、そのあとに車検、税金、保険、教育費などが続けば、また同じことが起きます。
私は大学進学でそれを痛感しました。
入学時のお金を用意できたら終わりではありません。
そのあとにも授業料などの支払いがあります。
だから、少なくとも半年から1年くらいの間に予定している大きな支出は、一度書き出しておく。
完璧な家計簿を作らなくても、
「〇月 授業料」
「〇月 車検」
「〇月 保険」
くらいでもいいと思います。
教育費とこれからの暮らしに必要なお金をどう考えるかは、教育費と老後資金、どちらを優先するかでも整理しています。
目の前の「足りない」だけではなく、その先まで見えるようになります。
3.家計だけで足りない金額を夫婦で共有する
ここは、私自身が一番できていなかったことです。
たとえば100万円必要で、今使えるお金が70万円なら、問題は「100万円ない」ではなく、
「あと30万円をどうするか」です。
30万円なら節約で対応できるのか。
貯金を使うのか。
収入を増やすのか。
利用できる制度があるのか。
夫婦で考えられる選択肢も変わってきます。
私の場合は、最終的に親にも相談して一部を借り、お金を工面しました。
もっと早い段階で必要な金額を整理して夫と共有できていれば、少なくとも私一人であれほど焦らなくてもよかったのかもしれません。
夫婦でお金の話をするとき、「足りない」から始めなくていい
とはいっても、
「夫婦なんだから話し合いましょう」
と言われて簡単にできるなら、そもそも悩まないんですよね。
私自身がそうでした。
特に家計を長く任されていると、
「お金が足りない」
という一言がとても重く感じます。
責められるかもしれない。
管理の仕方が悪かったと思われるかもしれない。
そんな気持ちがあると、話を切り出すこと自体が嫌になります。
だから今なら、「お金が足りないんだけど」だけで話を始めなくてもいいと思います。
たとえば、
「〇月までに〇万円必要なんだけど、今使えるお金だと〇万円くらい足りなさそう。一回一緒に考えてもらっていい?」
これなら、「足りない」という感情だけではなく、
・いつまでに
・いくら必要で
・いくら足りないのか
という事実を伝えられます。
そして最後に、
「一緒に考えてほしい」
と伝える。
私は、この一言が大切だったんじゃないかと思います。
もう一つ意識したいのは、
「誰のせいで足りなくなったのか」と、
「これからどうするのか」を分けること。
もちろん家計を振り返ることは必要です。
私自身、学資保険の契約内容をもっと早く確認しておけばよかったし、教育費についてもっと調べておけばよかったと思っています。
反省するところはあります。
でも、支払期限が迫っているときに、
「誰が悪かった?」
を決めても、お金は増えません。
まず必要なのは、
「じゃあ、どうしようか」です。
家計を見直すのは、そのあとでもできます。
夫婦のお金の話は、相手を責めるためでも、自分が責められるためでもなく、これからの生活を二人で考えるためにするもの。
話し合いが感情的になりやすいときは、夫婦でお金の話をすると喧嘩になるときの、家計会議を成功させるコツも参考にしてみてください。
今になって、そう思います。
お金が足りないから「私がもっと稼げばいい」と副業を始めた
それでも当時の私は、
「夫婦でどうしよう」より、
「私がどうにかしよう」
という考えから、なかなか抜け出せませんでした。
そこで行き着いたのが、
「だったら、私がもっと稼げばいい」でした。
本業だけでは急に収入を大きく増やすことは難しい。
それなら家でできる副業はないだろうか。
そこからブログをはじめ、いろいろな副業を調べたり、実際に挑戦したりするようになりました。
もちろん、収入を増やそうとしたこと自体を後悔しているわけではありません。
今も、自分で収入を作れるようになりたいと思っています。
ただ、今なら少し違う考え方もできます。
「私がもっと稼ぐ」と、
「私一人でなんとかする」
は、同じではありません。
自分で収入を増やす努力をしながら、家族のお金については夫婦で考えていい。
副業を始めた本当の理由については、別の記事でも詳しく書いています。
お金の不安から夫婦仲を守りたくて、副業を始めた理由はこちらにまとめています。
家計管理は一人でも、夫婦のお金は二人で考えていい

結婚する前から始まった、わが家のお金の管理。
振り返ってみれば、夫婦で、
「これから家計はこうやって管理しよう」
と正式に決めたわけではありませんでした。
結婚するためにお金を貯めようとして、私が夫のお給料を預かるようになった。
その方法が私たちには合っていたから、結婚後も続いた。
それだけだったんです。
そして長い年月の中で、
「家計を管理するのは私」が、
「お金のことは私がなんとかする」
に変わっていました。
でも、今回お金に困った経験をして、やっと気づきました。
家計管理は、一人が担当してもいい。
得意な方がやればいいし、その方がうまくいく夫婦もたくさんいると思います。
でも、「これから家族のお金をどうする?」
まで、一人で抱える必要はない。
家計を管理する人は一人でも、家計の責任まで一人で背負わなくていい。
夫婦のお金なのだから、二人で困って、二人で考えていいんですよね。
もし今、家計のお金が足りなくて、
「私がなんとかしなくちゃ」
と一人で考えている人がいたら、まず今使えるお金と、これから必要なお金を一度整理してみてください。
そして、「ちょっと一緒に考えてほしい」と伝えてみる。
私は、それをもっと早くできていたらよかったなと思っています。
お金が足りないことそのものよりも、一人で抱えていることの方が苦しくなることもあります。
夫婦のお金について話すことは、「ちゃんと管理できなかった」と報告することではありません。
これからの家族の暮らしをどうしていくのか。
それを二人で考えるための話なんだと思います。

